葬儀のなかでも安価なのは、市民葬、区民葬などと呼ばれる、市区町村が世話する葬儀である。戦後の貧しかった時代に考えられた制度で、自治体の認定を受けた指定業者が葬儀を行い、規格にそった葬儀を統一価格で提供する。申込者か死亡者がその自治体に在住であれば、誰でも利用できる(ただし、このサービスがなかったり、廃止した自治体もあったりするので、くわしくは最寄りの市区町村に問い合わせを)。東京二三区の場合だと、死亡届を提出して「区民葬をしたい」といえば、「祭具券」「霊柩車券」「火葬券」がセットになった葬儀券をくれる。ちなみに棺と祭壇を含む「祭具券」は、A(二四万七八〇〇円)、B(一三万二〇〇円)、C五万五五五〇円)の三クラス。霊柩車、火葬、骨壷にもランクがあり、最低に抑えれば一五万四六〇〇円、最高でも三二万四五〇〇円。それで通夜から火葬まで一通りのことはできるようになっている。ただし、遺影や生花や式場使用料は別途に必要なので、実際にはこれだけではすまない。
ウブガミの御神体が丸い小石の形をとるというのは全国的で、それは霊石であり、霊魂が宿っていることを示している。愛媛県宇和島地方では、ウブガミとして丸い美しい小石を供える。雨垂れが落ちる所の小石二つをよく洗って、米飯をそえた。これを石のおかずといった。兵庫県美方郡では、川から拾ってきた小石をお膳にのせた。母親が子どもに代わってそれを食べるまねをしたという。この石は三十三日目の初宮参りのときに持っていって川に流したという。ウブイシとウブメシとは、出産直後の重要な行事だった。ともにウブガミの存在を強く意識しており、その時点での不安定な赤子の霊を強化する願いがこめられていたのである。柳田国男編『産育習俗語彙』(一九三五年)には、出産の前後に産婦もしくは産児のために高く盛り上げた飯を用意し、そこに小石をわざわざそえていたことが注目されている。今ではもうそんなことはしていないが、それでもウブメシの方は形だけ残っているところもある。
言葉の衝撃を和らげる前置きで命令や抗議もソフトになる本題の前につける前置きの言葉のことを「クッション言葉」という。その代表例が「申し訳ございませんが」「恐れ入りますが」「失礼ですが」「あいにくでございますが」「お手数ですが」「たいへん恐縮ですが」などだ。この前置きの言葉は、相手に対する気づかいの表れであり、あとに続く言葉を柔らかくしてくれる。たとえば依頼した書類が期限を過ぎても届かない場合、「締め切り過ぎていますよ!」と言いたくなるところを「恐れ入りますが、お送りいただけましたでしょうか?」と言えば、「もしかしたら行き違いかもしれないですが……」というニュアンスが込められる。とくに「〜をしてほしい」「〜をやめてほしい」という、依頼や命令、禁止を最上級にていねいにした形が、「クッション言葉+お願い+お礼」のセット。「恐れ入りますが、客室内での喫煙はご遠慮いただけますでしょうか」という言い方だ。受け入れてもらったら、「ご協力ありがとうございます」などと感謝の言葉で締めくくる。