昭和五十八年から新車の車検期間がそれまでの二年から三年に延長されたときユーザーは朗報だと喜んだが、じつはなんのメリットも生んでいないのである。なんとなく車検費用が一年分得したような気になるが、本来故障などとは無縁の国産車なら整備期間延長が当たり前のこと。むしろ強制保険(自賠責と呼ばれている)や重量税を三年分先払いしなければならないなど、クルマを購入するときの諸費用の負担がかえって増してしまっただけである。新車でも三年後には車検を通すために高い整備費用が必要となる。どこも悪くもないクルマを整備して十数万円の車検費用を請求されるのは納得がいかない。前整備、後車検のシステム自体がおかしかったのだ。しかし平成七年の法改正で欧米諸国のような前車検、後整備に切り替わったのである。もちろん歓迎すべきことだが自分のクルマは自分が点検して、自分で責任を持って乗ることが要求される。自分で車検を通すのがユーザーにとって理想、というよりそれが当たり前の姿なのである。道路運送車両法にも、「登録自動車の使用者は車検期間後もその自動車を継続使用する場合、陸運局長の行う継続検査を受けること」と記されている。なにも整備業者に委託しろとは書いていない。運輸省と整備業界の癒着が今日のような誤った認識をユーザーに植えつけてしまったのだ。
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